個別化医療から個別化予防へ

高齢化に伴うがんや認知症などの疾患の増加は途上国を含めた全世界的な社会問題ですが、超高齢化と少子化が顕著な我が国では特に深刻であり、医療・介護費の膨張と労働人口の減少が危機的状況を迎えています。これらの課題を解決するための鍵は個別化医療から個別化予防への転換であり、そのためには情報学と生命医科学が一体となった研究を進めなければなりません。このような研究とその成果の社会実装を進めることができる人材は圧倒的に不足しており、人材育成の教育プログラムと研究環境整備が喫緊の課題です。

コンボリューション（畳み込み）教育

コンボリューション は2つの関数の畳み込み積分を意味します。生命医科学という関数と情報科学という関数を単に並列して教育するのではなく、畳み込んで積分することにより、より相乗的・実用的な融合教育をめざします。
その実現には分子から人間社会に至る多階層における生命科学ビッグデータを解析し未病の病態理解と予防法開発を進めることが必要です。こうした社会の要請を踏まえ、本プログラムでは、情報学と生命医学を修養し、ビッグデータ解析のための共同研究体制を構築して個別化予防を創造し社会実装する研究者・行政官・アントレプレナーを育成します。

グローカルアライアンス

グローバルアライアンス

以下のようなグローバルアライアンスを活用し、大学院の間に、海外の大学で半年から1年以上にわたる研究や海外での研究発表を経験し、国際的に活躍できる素養を修得します。

ローカルアライアンス

東海国立大学機構に基づく岐阜大学との生命科学研究連携と電子カルテ情報統合を基盤とし、連携・協定機関である長寿医療研究センターや愛知県がんセンター、生理学研究所、愛知県医療療育総合センター、加えて名古屋大学附属病院の71関連病院など、東海地域でしか形成できない研究・医療ネットワークを最大限に活用した教育プログラムを提供します。
また、豊田市や高山市などの自治体もコホート研究などで協力体制にあり、これにより、マルチレイヤー生命医科学の教育体制を充実させるとともに、名古屋大学だけではできない研究や教育を補完し、幅広い研究体制や大量かつ多様なデータ集積が可能になります。
加えて、本学保健学科改組による先端情報医療学や情報学研究科をコアとして、統計数理研究所が参画し、充実したデータサイエンス教育を提供します。

企業アライアンス

本プログラムの趣旨に賛同した企業が大学院教育の一翼を担うと同時に共同研究などで連携します。