私は脳発生の中心的役割である神経前駆細胞に着目し，その周辺微小環境を解析することでその後の連続的な脳の組織構造，機能形成の仕組みを解き明かそうとしています．発生への理解を通じて神経疾患や精神疾患の予防，予測に役立てられればと考えています．従来，生き物はある時点で"発生"という段階が終わると考えられてきましたが，現在では発生は成人であっても継続しており，その過程は連続的なものであると言われるようになりました．医療の現場でも生前から生後，そして成人に至るまでの連続的な社会的ケアが重要視されており，また多くの疾患も0か1ではなく連続的なものとして記述されます．このように連続性はどの分野であっても必ず登場し，また現在の高度に専門化した各領域の間に足りていない物であると感じます．CIBoGプログラムを通じて様々な領域について学んだことが今後この連続性の構築への一助となれば幸いです．